徳島県小松島市内の高校でコオロギパウダーを使った給食が出されたという報道がありました。
最近では昆虫食は「スーパーフード」と呼ばれているほど、高たんぱくで栄養価も高く注目されている食材で、大手企業でもスーパーフードを使った商品を出しています。
世界の食糧不足問題が心配されている中で、昆虫食はその解決策になるとも言われています。
そこで今回はスーパーフードのコオロギパウダーのアレルギーや効果、パンやお菓子、学校給食にも使用されている現状を調査しました!
コオロギパウダーとは?
そもそもコオロギパウダーとはどういったものなのでしょうか?
コオロギパウダーとは食用に養殖されたヨーロッパイエコオロギを粉末加工したもので、ナッツのような香りとさっぱりとした味が特徴で、高たんぱくで栄養価も高いので、次世代のプロテインと言っても過言ではありません。
コオロギを食べると聞くと、抵抗がある方が多いと思います。
実際にコオロギパウダーを使用した給食を徳島県の学校で出したところ、保護者からのクレームが相次いだそうなんです。
やはり「コオロギパウダーだから大丈夫!」と言われても、言われた側は草むらでよく見かける野生のコオロギを想像してしまいますよね。
なので子供に食べさせたくないという保護者の気持ちはよくわかるので、クレームは当然なのではないでしょうか。
しかしコオロギパウダーには他の食材にはないメリットがあるんです。
コオロギパウダーを使う効果
コオロギパウダーが注目されているのには3つの効果があるからなんです。詳しく見ていきます。
効果その①:豊富なたんぱく質と高い栄養価
コオロギパウダーが「スーパーフード」と呼ばれている理由は、豊富なたんぱく質と高い栄養価が含まれているからなんです。
含まれている栄養素は
- 脂質:血液中の中性脂肪やコレステロールの調節を担うオメガ3やオメガ6などの多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれている
- 炭水化物:ほとんどが食物繊維で、特に抗菌作用を持つ天然成分キチンが豊富で、糖質はほとんど含まれていない
- ミネラル:貧血予防に必要な鉄分、骨や歯を形成し筋肉収縮や細胞機能調節を担うカルシウムが豊富に含まれている
- ビタミン:脂質をエネルギーに変えるB2や、造血作用・たんぱく質の代謝・核酸の合成に関与するB12が豊富に含まれている
などが含まれており、コオロギパウダーを使用することで様々な栄養素がバランスよく摂ることができるんです。
これが「スーパーフード」と言われる所以なんですね。
確かにこれだけの栄養素をパウダーで摂れるとなると、食べる価値はあるのではないでしょうか?
効果その②:環境に優しいたんぱく源
コオロギパウダーが注目されている最も大きな理由が、環境に優しいたんぱく源であるからなんです。
環境に優しいとはどういうことなのでしょうか?
よく食べる牛肉を例にとって食用コオロギと比較してみます。
牛肉の場合
- 可食部1㎏生産に必要なエサ:約25㎏
- 可食部1㎏生産に必要な水:約22000ℓ
- エサ消化時に発生する温室効果ガス(メタン)排出量:体重1㎏の増加に対して約2850g
一方食用コオロギの場合
- 可食部1㎏生産に必要なエサ:約2.1㎏
- 可食部1㎏生産に必要な水:約420ℓ
- エサ消化時に発生する温室効果ガス(メタン)排出量:体重1㎏の増加に対して約1.6g
となっていて数値を見比べると、いかにコオロギパウダーが地球環境に優しい食材なのかは一目瞭然です。
また雑食なのでエサの選択肢が広く、残った食材を食べるなど食料破棄の問題にも貢献する可能性があるんです。
環境問題が深刻化している現代において、食用コオロギがいかに環境に優しい食材かがわかります。
効果③:安心安全・効率的なたんぱく質
コオロギはどこで採れるか知っていますか?
実は食用コオロギはしっかりと管理された場所で養殖されていて、洗浄や加熱処理の工程を経て粉末加工されているため、安心安全なたんぱく源なんです。
またコオロギは他の昆虫に比べ成長が早く約35日で成虫になるので、効率よく生産することができるんです。
確かに日本人が好んで食べている牛肉は、食べられるようになるまでどんなに早くても約2年はかかってしまうんです。
コオロギの養殖がどれだけ効率的かわかりますね。
アレルギーは?
原料の食用コオロギは最近になって注目され始めた食材なので、まだアレルギー表示の対象にはなっていません。
しかし食感はエビやカニなどの甲殻類に似ていて、含まれている成分も甲殻類と類似成分を含んでいます。
そのためエビやカニなどのアレルギーを持っている人が食べると、アレルギー症状を起こす可能性があるため注意が必要です。
ただコオロギパウダーを使用した商品にも裏面に成分表示がされてあり、エビやカニの記載がされている商品もあるため、購入する際は必ず確認してから購入するようにしましょう。
コオロギパウダーを使ったパン
コオロギパウダーを使ったパンが大手企業からも発売されています。
敷島製パン(Pasco)
あの有名な大手企業敷島製パン(Pasco)は、コオロギパウダーを使ったクロワッサン・バームクーヘン・フィナンシェをオンラインショップ限定・数量限定で販売しています。
Pascoは1920年(大正9年)創業以来、本業を通じて社会に貢献することを理念とし、未来の食糧不安に備え、持続的な食糧の安定供給を目指しSDGsの取り組みも進めています。
この取り組みの一環として、栄養価が高く地球にも優しい昆虫食に着目し、高崎経済大学発ベンチャー企業であるFUTURENAUT株式会社(群馬県高崎市/CEO櫻井蓮)の食用コオロギパウダーを使用した製品を研究・開発しました。
引用元:Pasco公式ホームページ
コオロギパウダーを使った商品を開発した経緯が社会貢献の一環でやっているとのことです。
自社の事だけでなく社会全体の事を考えて行動していることから、敷島製パン(Pasco)さんの企業理念は素晴らしいものだという事が見て取れます。
しかし世間の声は少し違うようで、
と否定的な声が圧倒的に多いようです。
やはりコオロギを食べるということには抵抗がある人が多く、全国民に浸透するにはまだ時間が掛かりそうですね。
コオロギパウダーを使ったお菓子
コオロギパウダーを使ったお菓子も大手企業から販売されています。
無印良品
あの大手企業「無印良品」さんからはコオロギパウダーを使ったお菓子が発売されています。
「無印良品」さんが昆虫食へ取り組むのには
世界の急激な人口増による将来の食糧不足に備えて、「昆虫食」が注目されています。当社では、「今後の食糧確保と環境問題などの課題を考えるきっかけになれば」という思いから昆虫食の商品化を開始。
引用元:PR TIMES
という背景があります。
敷島製パン(Pasco)さんと同じように、自社の事だけではなく世界の将来の事に目を向けられていて素晴らしい企業ですね。
そんな「無印良品」さんが販売しているお菓子はどんなものなのか気になりますよね?
現在販売されているお菓子を紹介します。
コオロギせんべい
一つ目のお菓子が2020年に販売された「コオロギせんべい」です。
コオロギパウダーをせんべいに練り込み、コオロギの味を活かすため余計な原料を使わずシンプルな配合にしています。
確かに若干の抵抗はありましたが実際に食べてみると意外に美味しいんです!
まだ食べたことのない方はぜひチャレンジしてみてください。
コオロギチョコ
2つ目のお菓子が2021年12月に発売された「コオロギチョコ」です。
コオロギパウダー以外に大豆パフやきなこなどの大豆由来の素材を加え、1本あたりのたんぱく質約15gと高たんぱくに仕上げています。
甘さ控えめのミルクチョコはオレンジ果汁パウダーがアクセントになっていて、大豆パフがたくさん入っているためザクザクした食感が特徴です。
「コオロギせんべい」も「コオロギチョコ」も食べてみると違和感なく美味しく食べられるんですが、やはり世間の反応は違っていて
このように否定的な意見が多いようです。
お菓子であってもなくてもコオロギパウダーを使うこと自体が受け入れられていないのが現状のようです。
コオロギパウダーを使った給食
徳島県小豆島市内の県立小豆島西高校では、実際にコオロギパウダーを使った給食を出しているんです。
2022年11月にひき肉の代わりにコオロギパウダーを使った「かぼちゃコロッケ」を給食で出していて、食用コオロギが学校給食に使われた国内で初めての試みでした。
コオロギパウダーがひき肉の代わりになるとは到底思えないんですが、国内初という事で食べた方の反応が気になりますよね?
この反応次第ではコオロギパウダーを使った給食が全国に広まっていく可能性があります。
しかし残念ながら今回の試食ではクレームが相次いでいるようです。
「クレームの電話がすごくかかってきて、上からは、しばらく動かないようにと言われました。状況的に厳しくなければ、使用を継続していこうと思っていましたが、この先は考えられない状況ですね」
引用元:JCASTニュース
やはり昆虫食を子供に食べさせることに対して受け入れられない人が多いようです。
これらのクレームを受けて昆虫食の今後については
小中学校のような学校給食ではなく、専門科目の集団給食として実施しています。生徒がみな一斉に食べるわけではなく、希望する一部の生徒だけが試食しています。大学や企業が安全に食材を提供し、アレルギーについても生徒に説明したと聞いています。高校には、どんな意見が来ているか聞きましたが、今後どうするかは学校の判断になります。教育委員会として、このような給食を進めたり、指導をしたりするものではないと考えています
引用元:JCASTニュース
としています。
この様子だと今後学校で出されるとは考えにくいので、昆虫食が浸透するのにはまだまだ時間が掛かりそうですね。
世界のコオロギ市場
昆虫食に否定的な声とは裏腹に世界のコオロギ市場規模は、2022年から2029年にかけてどんどん増え続けると予想されており、2029年には35億米ドルに達すると予想されています。
現在日本ではコオロギ市場はまだまだ規模が小さいですが、今後ますます食糧問題や地球環境問題が深刻化していくと予想されている中で、「スーパーフード」といわれるコオロギパウダーが救世主になってくれる日は来るのでしょうか?
今後の動向に注目したいと思います。
まとめ
この記事では
- コオロギパウダーとは?
- コオロギパウダーを使う効果
- アレルギーは?
- コオロギパウダーを使ったパン
- コオロギパウダーを使ったお菓子
- コオロギパウダーを使った給食
- 世界のコオロギ市場
について調査しました!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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